水を掬すれば
今年の暦では中秋の名月がお彼岸真っ只中。(毎年そうだっけ?)お稽古のお菓子を決めるのも「お彼岸をとるか、お月見をとるか」ちょっと悩ましかったりします。
今週のお軸は上田流16代上田宗冏宗匠
「掬水月在手」(みずきくすれば つきてにあり)
月(または月の光)は仏教的にはBuddha-Natur 仏性、または悟りによく喩えられていますね。仏性はすべてのあまねく衆生に降り注ぎ、誰でもが手に取り得る。反対に言えば、「手で掬わなければ(行動しなければ)得られない」とも解釈できます。
まあそんなことはさておき、この句はとてもわかりやすくて詩的なので(いや、もともと漢詩からの引用なのであたりまえなんですが)好きな禅語の一つです。
さてお菓子、イメージ的には
こちらを元に「夜の水面に映る月」を作ってみようと考えていました。
使う型はセラミックの平丸で
底が平らになっているのです
まずは練り切りと黒こしあんで月を作り、(使いたくてウズウズしている)金粉スプレーをしゅしゅっと
それを錦玉、黒こしあん、そして少量の葛を入れた半錦玉で作ってみる
うーん、悪くはないけど何か違う??
その後いろいろいろいろ試してみて、最後に落ち着いたのがこの形。白の半錦玉でごく薄い水色(瓶覗きくらいね)に着色、金は月には付けずに表面に少しだけ。
銘は「湖月」にしました
型をひっくり返さず、そのまま逆さになっています。
端をもうちょっときれいに処理すればよかったかな。。。
このお菓子は柔らかいほうが美味しく、またくっつきやすいので銘々皿が無難な感じ
このお菓子を作っている間はずっと、昔読んだ開口健の
「掌の中の海」を思い出していました。
このお話の中には(確か)夜、月明かりの下で手のひら一杯にアクアマリンをすくって眺めるラストシーンがあるのです。開口健の作品を読まなくなって久しいですが、またちょっと読んでみたくなったかな。
おまけ:
ドイツのトウモロコシ畑から、今年の十三夜
綺麗だったけど寒かった。。。
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